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言の葉つづり

ハッピー・ウェディング

 お客様は、同棲中だという三十代前半のカップルだった。当時の彼は、会社を辞め、新しい職場を探していた。
 結婚したい。けれど、仕事がなければ、ご両親にも紹介できない。おまけに、借りている部屋も、大家さんから、出ていってほしいと言われているところだった。これでは、結婚どころではない。
 「先生、これから、どうしたら良いでしょうか。」
 私は、すぐに言った。
 「大吉の方位で、引っ越しをしなさい。そうしたら、すぐに就職できますよ。全部、うまく行きますから。」
 「えっ、何ですか。大吉の方位って、どういう事ですか。」
 「方位にはネ、『行くと願いが叶う方位』が、あるんですよ。お二人にとっての大吉の方位を選んで差し上げますから、だまされたと思って、行ってみなさい。」

 実は、方位には、それぞれ特徴がある。例えば、南西は、とても働きものになる方位。若い人は、南西の方位に引っ越すと、よく働き、よく努力し、辛抱し、いずれ成功するという、理想的な方位。北東は、今、行き詰まっている人が、その状況を変えるには、とても良い方位。また、南は、とても頭が冴えて、勉強がよくできるようになったり、頭を使って、考える仕事をする人には、とても良い方位。などなど。
 それぞれの特徴を知り、引っ越しに活かせれば、とても良いのだ。
 でも、気をつけなければいけない!。いくら方位の特徴を知っていても、誰もが、いつでも、その方位に、すぐには引っ越しすれば良いわけではないのだ。
 毎年、毎月、行っても良い方位と、行ったら良くない方位が、変わるのだ。だから、きちんと、生年月日から、行って良い方位を、選ばなければならない。
 二人にとっての大吉の方位とは、それぞれの生年月日に基づく、その年、その月に行っても良い、最高の方位の事なのだ。

 私は、二人に、南東の方位を選んだ。南東は、「ととのう(整う・調う)」という意味のある方位。
 「仕事がととのう(就職できる)・縁談がととのう・商談がととのう・家庭生活がととのう・・・。」
 二人は、私の言ったとおり、南東に引っ越しされました。

 一年後。
 「先生の言われたとおりでした。引っ越ししてすぐに、前の職場の上司から話があり、思わぬ良い会社に就職できました。結婚もでき、今、彼女のおなかに子供がいます。幸せです。」と。
 うれしかったなあ。そういう電話をもらう事が、私の一番の幸せなんだ。
 まさに、仕事冥利に尽きる。そんな日は、お酒がおいしいよ。
 お二人の幸せに、乾杯!


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